日本における視覚障害者の数は全国で31万人と言われており、今後も高齢化により高齢視覚障害者は増加すると予測されています。高齢視覚障害者のなかには、老後の生活に不安を感じている方、身体的に介護の必要がない状況でも理由があって自宅で暮らせない方、入所した施設で視覚障害にきちんと配慮してもらえるか心配な方も多いのではないでしょうか。
今回は介護の必要性に関係なく、環境的・経済的に自宅で生活することが困難な高齢視覚障害者が安心して暮らすことができる「盲養護老人ホーム」をご紹介いたします。
盲養護老人ホームとは
老人福祉法第20条に位置づけられた養護老人ホームのうち、視覚に障害のある入所者の数が定員の7割を超える施設を指します。愛知県内では下の2か所があります。対象は概ね65歳以上で、環境上の理由及び経済的理由により居宅での生活が困難な方です。他の入所者と共に過ごして交流したり、様々な場面(食事、掃除、洗濯、余暇活動)に応じた訓練を行うことで、自立した日常生活を送ることができるよう支援する施設です。措置施設といい、自治体により利用の可否が決定されます。
《愛知県内の盲養護老人ホーム》
(福) 名古屋ライトハウス瀬古第二マザー園 : 名古屋市守山区瀬古2-301 電話 052-792-5556
(福)福寿園 養護盲老人ホーム福寿園 : 田原市六連町神ノ釜9-3 電話 0531-27-0008
1.対象者 ※下記の条件をいずれも満たしている方です。
①家庭環境の理由があり、かつ経済的な理由により家庭において養護を受けることが困難な方。
②環境上の配慮があれば、食事、入浴、排泄、その他身の回りのことが一通りご自分でできる方、かつその意欲がある方。
2.入居費用
各利用者の前年の収入に応じて、本人の一部負担金として措置する行政機関へ利用料を納めます。利用料の金額は国が定めています。(障害年金等の金額を上回ることはありません)
3.入所申込みまでの流れ
①お住まいの市町村役場の社会福祉事務所(福祉課などの窓口)にて相談申請を行ってください。
②入所依頼書が施設に届いた後、施設より社会福祉事務所を通じて申込者へ面接のご相談をさせていただきます。
③面接後、社会福祉事務所を通じて入所の可否をお知らせします。入所可となった場合は、お部屋の空きが出るまで自宅で待機していただきます。
施設の様子
視覚障害に配慮した環境の整備として、施設内における点字表示、誘導用点字マット等はもちろん、点字がわからない方でも目印や手がかり(鈴やぬいぐるみ等)を頼りに位置を確認できるようにしています。加えて、施設内を歩行する際は利用者同士がぶつからないように右側通行をするなど、入所者が自立した生活ができるように設備面やルールを工夫しています。フレイル(虚弱)予防や認知症予防運動プログラムを利用し、認知症対応にも力を入れている施設もあります。ガイドヘルパーを利用して買い物に出かけたり、デイサービスに通って趣味やレクリエーションを楽しむなど外部のサービスを併せて使うこともできます。
写真:名古屋ライトハウス瀬古マザー園
ご利用者の生活 ~ 一日の流れの例 ~
6:00 点灯、起床
6:25 朝の放送(本日の予定など)
7:30 朝食
9:15 ラジオ体操
AM 余暇時間(俳句・音楽クラブ)
健康管理(内科・眼科・歯科・皮膚科)
10:45 嚥下体操・リハビリ体操
11:30 昼食
12:30 入浴(火・木・土)
PM 余暇時間(行事・買物(移動売店)・菜園クラブなど)
喫茶(13:30~15:45頃まで)
14:30 おやつ
17:15 夕食
20:30 夜の放送(翌日の予定など)
21:00 消灯
おわりに
患者さんには老後の生活に不安を感じている方も多くいらっしゃると思います。視覚に障害がある高齢の患者さんには、このような場所もあるということを知らせておいてはいかがでしょうか。
*問い合わせ先
名古屋市総合リハビリテーションセンター 自立支援部視覚支援課
名古屋市瑞穂区弥富町字密柑山1-2 TEL 052-835-3523
社会福祉法人名古屋ライトハウス情報文化センター
名古屋市港区港陽1-1-65 TEL 052-654-4521