目が見えにくくなり、今までできていたことができなくなった時、この先何もできなくなってしまうのではないだろうかと不安に感じる患者さんは多いのではないでしょうか。
そんな時、視覚を補う道具を使ったり、ちょっとした工夫をするだけで、できることが増え生活が随分と快適になり、生活の幅が広がり自信へもつながると思います。今回は日常生活に役立つ様々な「視覚サポートグッズ」をご紹介いたします。
視覚を補うもの
- 音声機能や音声ガイドで確認する
音声機能がついた商品は、視覚障害者向けに作られたものだけでなく、一般向けに販売されているものもあります。ボタンを押すと音声で確認ができたり、操作方法を音声でガイドしてくれるものなどがあります。 - 触って確認する
触読式時計など、触って確認できるものがあります。また、凸点などを目印に付けて自分で工夫することもできます。 - 「見やすさ」で確認する
文字を大きくしたり、色のコントラストをはっきりさせることで見やすくさせます。
〇時間を確認する
音声式、触読式、振動式、ロービジョンの時計があります。
音声式の腕時計ではアラームや時報、ストップウォッチ機能が付いているもの、置時計には温度や湿度を知らせてくれるものもあります。触読式時計は針先と文字盤を触って時間を確認します。静かな会議室など、周囲を気にせずに時間の確認ができます。ただし、触り方のコツを覚えるために少し練習が必要です。振動式の時計は時・分・秒、それぞれの振動の長さや回数で確認します。ロービジョン用は白黒反転、黄黒などコントラストのはっきりした時計です。腕時計、置時計、掛け時計、キーホルダー型など様々あります。
〇書類や文章を書く
書類にサインする時のガイドや宛名書きのガイド、罫線のはっきりしたノート、黒いメモ帳などを利用すると、自分で書きやすくなります。黒いものさしをガイドとして使う方もいます。拡大読書器があれば拡大しながら書けるので便利ですが、カードサイズのサインガイドを財布に入れておくと、必要な時にいつでも使えて便利です。
〇日々の健康を管理する
音声式の体重計、体温計、血圧計があります。体重計は必要な情報を事前に登録しておくと、体脂肪率や体内年齢なども音声で知らせてくれます。コロナ禍により、体温管理も重要となっています。また、血圧計は音声で測定結果を知らせるだけでなく、数値を記憶するメモリ機能も付いているので、血圧を記録して病院へ提出しなければいけないという時に便利です。
〇調理・食事をする
調味料は入れ物の形を変えたり、印をつけておくと区別がつき、わかりやすくなります。出しすぎないよう、一振りで決まった分量が出る醤油さしや調味料入れなどがあります。量を量るには、すりきり一杯で100ccなど何種類かの計量カップを使い分けたり、100cc単位で段差が付いていて触って確認できる計量カップもあります。音声キッチンスケールを使い、音声で液体や物の重さを量るというのもひとつの方法です。
「食材が見えにくい」ということがあります。その場合、白いまな板に色の濃い食材、黒いまな板に白っぽい食材を乗せると見えやすくなります。同様に黒い茶碗にご飯をよそうととても見えやすくなります。最近では調理関係の便利グッズは、コーナーを設けるほどたくさん出ています。
日常生活用具給付制度について
ここでご紹介した時計、体重計、体温計、血圧計、デイジー再生機(ポータブルレコーダー)、はかり(キッチンスケール)などは、公費で助成される「日常生活用具給付制度」の推奨商品となっています。名古屋市では、令和3年4月から血圧計が給付の対象となりました。このように、利用者のニーズや新商品の開発などにより日常生活用具対象商品が随時更新されます。
日常生活用具は、主に重度で在宅の方が対象ですが、市町村事業のため自治体により対象種目や補助上限額などが異なります。詳しくは各自治体の福祉窓口へお問い合せください。
*問い合わせ先
名古屋市総合リハビリテーションセンター 自立支援部視覚支援課
名古屋市瑞穂区弥富町字密柑山1-2 TEL 052-835-3523
社会福祉法人名古屋ライトハウス情報文化センター
名古屋市港区港陽1-1-65 TEL 052-654-4521